先日、中華屋に1人の高齢者が入店、口頭でラーメンを注文したところ、「テーブルの機器(タブレット)にて注文してください」と店員から告げられ、その高齢者は、少しタブレットを見つめた上で、退店してしまいました。
最近は、テクノロジーの進化とスタッフ配置・業務の見直しで、テーブルに設置したタブレットでの注文、更に客自身のスマートフォンで注文させる店などが増えてきました。注文間違いの回避や会計、接客の効率化など店舗側のメリットがあり、今後更に進む人材不足という社会課題の解決策の1つとして、多くの店舗で導入されていくことになると思われます。
高支協各社がトライしている高齢者向け事業においては、お客様がテクノロジーに慣れていない世代であったことや高齢者であるお客様のことを想うとできる限り、(特に直接介護サービスの場面を中心に)多くの機会(時間)に人が接することが最良サービスの原点であるという考え方が根強く、他の産業に比べるとテクノロジーに関連した商品やサービスの導入に関し、まだまだ慎重な姿勢が継続しているように思います。そんな中、例えば、パラマウントベッド社のセンサー機能を使用した利用者様の体動の確認システム「眠りスキャン」などは、お客様対応に拘りのあるスタッフも含めて、その導入目的や活用方法について、しっかりと納得・理解することで有効に活用されながら導入現場は、かなり拡がってきていると思います。今後は、「人が対応しなくてもサービス低下とならない業務」と「(この部分こそ、)人が対応すべき大事な業務」という整理がしっかりと進んでいくのだと思います。
高支協各社は、住宅型、訪問型など現場毎に異なる課題や方向性をお聞きし、我々の提供する商品やサービスによって課題解決が進むよう提案しています。高齢者向けサービスであることも念頭に、使われる方(高齢者であるお客様、スタッフ)に対して、その商品/サービスの導入目的、使用・活用方法を分かり易く、ご説明し、しっかりと活用できる体制づくりを用意しています。また、導入後の活用状況も確認させていただき、頂くご意見などから、改善点が見つかれば商品改善に活かしています。
冒頭のタブレットの使用に嫌気がさして、中華屋から退店してしまった高齢者ですが、客として座っていた若者が退店した高齢者に声掛けし、使用方法を丁寧に教えてあげて、高齢者は無事、ラーメンを食べることができました。タブレット導入した店舗として、どう対応していくべきなのか、考えながら食べた味噌ラーメンは、それなりに美味しかったです。
高齢者住宅支援事業者協議会 事務局長 市川隆

